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この前中国に出かけたのは20年以上前。
大学卒業年次の夏。卒業するのかしないのか、はっきり決められないまま、当時住んでいた学生寮の同室のおっさんに誘われて、初めての海外旅行は貧乏旅行、歩きまくる旅だった。
バスに乗るのはおしくらまんじゅうに飛び込むような騒ぎで、初めて見たその光景が信じられなくて二、三台見送ったものだった。だけど半日もたつとその格闘にいちいちファイトを燃やすようになっていた。バスも自動車も歩行者も自転車もほぼ信号を守らない、ハリウッド映画のカーチェイスのような交差点のぎりぎり無事故で済む時間。いちいち胸の鼓動を高まらせていては旅ができない。そう言い聞かせて歩いたものだった。
それにしてもずいぶんかわった。こんないい感じの自転車を見つけるのにちょっとだけ時間がかかる。だけどなつかしんで見ているのは旅人の無責任な感覚に過ぎない。そんな自己嫌悪の感情に胸をちくちく刺されながら、当時も歩いていた。おなじだ。
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