戯曲の講読、上演許可の連絡などは office白ヒ沼 までどうぞ。
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加わりました。ぜひ読んでみてください。
実は6年前に書いて発表してラジオで放送された台本があった。
忙しさにかまけて整理もせずにそのままになっていたのだけれどふとこの前、福井に自作の一人芝居の上演を見に行ったら、久しぶりに再会したのだ。そのラジオドラマの仕掛け人たるパーソナリティの方に。あ。そうだった。と失礼ながら、思い出した。この人のために書いたことがあった。と。それがこれだった。
「りん子の25年 恋についてかんがえる。」
偶然再会した元恋人。25年ぶりだ。だけどわずか50分の電車の乗り換え時間、駅構内の喫茶スペースで男女は話し込む。ドラマはほぼその会話だけで進行する。17歳で別れて以来なのにこの再会は残念なことにとてもあわただしい。その後いくつもの恋は知ったけれど、独身のまま40歳を超えた二人。経済的に自立しているりん子は、しかしわれながら面倒くさい女だ。まっすぐなレールでまっすぐ進む。それが私のわがままな道だ。誰の犠牲にもなりたくない、誰も私の犠牲にしたくない。私は私の進みたい道を進むのだ。一方、ちっとも変わらない強引で自己中心なペースの男。へんな高揚感。りん子はふと、この50分のうちに勢いと勘違いのまま決意してしまえば、結婚もいいかもしれないと思いつく。迫るりん子。戸惑い、迷う男。これは恋なのか?恋ってなんなのか?フルスピードの会話の中、混乱するふたりは奇跡をみるのか?――FM福井開局25年を機に放送されたラジオドラマ。50分。
2009年12月 FM福井にて放送。
50分
男1女3(ほぼ男1女1)
遠い距離を旅して帰って、うちのパソコンを開いてひさしぶりに読んだ。ああ。そうだった。このきびきびした毅然とした女性からイメージをもらって、その女性を主役にして、ドラマを書こう、と一気に取り組んだのだった。その取り組んだ粘った喫茶店がどこだったか、ということまで詳細に思い出した。普段ラジオで美しい快いしゃべりを展開するパーソナリティの彼女には無理な注文をいくつも出した。わざと不快な感情をむきだしにしてほしい、わざとぶつぶつと口ごもるような内向的な声をください、つくらない聞かせない親しい人にしか見せない恥ずかしい息をください、……普段のラジオドラマの現場にはないくらい、演技指導することになってしまった。分刻みのスケジュールで動く局のパーソナリティたちが出演者になってくれて、あわただしくリハーサルをして、いつの間にか稽古になった。「ちがう。もっと汚く。」「ちがう。もっと雑に。」「ちがう。そんなに滑舌よくしないで。」「ちがう。もっと苦しげに。」「息つぎを露骨に。」「棒読みに。抑揚消して。」「早口で。聞き取れなくてもいいから!」「強く!マイクをたたくくらいに!」……皆が戸惑った。「そうかあ。これ我々の職業からいうと、新人研修の時に『やめなさい』って一個一個しつこく訓練されたことの逆をやれってことだよねえ」……ベテランのパーソナリティの方が解説してくれた。同じ「台本を読む」「喋る」ってことなのに、こんなに作法が違うんだ、って私も驚きがあった。
できあがったドラマも好きだった。ラジオから聞こえてくるのは珍しいような「若い」勢いを感じる時間。そんなのが成立して恥ずかしいくらいだった。
いま、FM福井ではその方が中心でラジオドラマがつくられているらしい。番組表にのっているらしい。このコストパフォーマンスが厳しいラジオドラマってやつがその地で成立しているっていうのは実はすごいことだ。視覚に頼れない分、聴く人の想像力を期待する芸能、ラジオドラマ。想像力の中で宇宙にも飛んでいけるのがラジオドラマだ。
文化っていうのは、コストとか利潤とか効率とか、そういうものとは違う「うれしさ」って感情で生まれる。そんな感じがひしひしする。
やっともう一回原稿を整理しました。リストに加えることができてほっとしました。
おもしろいからどうか皆さん、「戯曲」のコーナーに立ち寄ってみてください。
夕空はめりはりがきいていてちからづよい。
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