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戯曲の講読、上演許可の連絡などは office白ヒ沼 までどうぞ。
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あわただしい日々。
木曜日からニューヨークに行く。
「ともだちが来た」が翻訳され、そのリーディング公演があるのだ。
土曜日にトランクを買った。どうせだから、と大きな奴。大きすぎたか……と私の物書き部屋の面積を支配する銀色の奴を眺めながらつぶやくほかない。

リーディング、というのは欧米では上演の準備段階として行われるおためし企画、とでもいう感じの企画だ。上演はまだ未定。翻訳をしてくれたジェイムス八重樫さんが演出を担当する。ジェイムスは俳優だ。nyで活躍し、ブロードウエイのストレートプレイに出演するのを観劇させてもらったこともある。日本育ちの米国ny在住、小さい頃は家では日本語、学校では英語を使っていたという日米両語のネイティブスピーカー、きちんと米国nyで俳優教育を積み重ねたバリバリの俳優さんだ。彼の翻訳は文学者がするような言葉を重々しく扱いすぎるやり方ではなく、学者がするような逐語訳からそれることを恐れすぎるやり方でもなく、作家がするような自分流の情緒に染めあげるようなやり方でもなく、いかにも俳優がするようなやり方、つまりすぐれて演劇的だ。舞台の上で俳優が吐くとどうなるのか、を常に気にしたやり方。舞台の上で成立する対話になっているか?ナチュラルな日常語に徹しすぎるのではなく、舞台の上で魅力を発する創作、という危うい線をキープしているのか?という配慮を感じる仕事。
……いや、英語がネイティブでもない鈴江にそんな違いがわかるのか?わかる、と言いたい感じなのだこれが。いくつか英語圏、ドイツ語圏でのリーディングを見てきた印象で、どこかにいくつかの違和感を持って帰ってきた。もちろん、日本語の上演では実現できなかったヒット、も含めて。誰に聞いてももやもやとしたままの、明快な回答が得られなかった疑問に、初めて爽快に答えをくれたのが彼だ。
彼と出会ったのは数年前、米国nyで行われた「Fireflies」(邦題「髪をかきあげる」)のリーディング。東洋系米国人俳優を集める、という演出意図に基づいて集められた俳優の中に彼はいた。稽古場。立ち会った私が感想を求められ、日本語でぼそぼそ喋っているとまだ英語に訳される前から笑っている俳優がいる。彼は謙遜交じりのやけくそ皮肉なニュアンス交じりの私の日常日本語のニュアンスをきちんと笑ってくれるほどの日本語使いだったのだ。
ny滞在中に私は彼をつかまえて、片っ端から聞いた。英語と日本語を並べたときに感じていたほんのささいな、たくさんの微妙な疑問を。彼は逐一教えてくれた。なるほど!やはり!なるほど!そりゃ無理だ!なるほど!それが伝わってなかったのか!などなど、びっくりマークが私の中で何回もはじけた。
彼と座っていた明るい公園のベンチの緑を今でも覚えてる。

そんな彼に翻訳してみてほしくて、帰国後早速頼んだのが「ともだちが来た」だったのだ。彼の翻訳はきっとすごくさえてるに違いない。手にした英語がどこまでさえたものになってるのか、は実は私の英語力では読んだだけの段階ではよくつかめなくて。リーディングを見るとありありわかるのだけれど。

彼が演出まで担当して実現してくれるこのリーディングに申し訳ないけれど大変大変期待している。小さな小さないかにも「ニューヨークな」リーディング会場だというのだけれど、私はどきどきしてる。

 http://www.aaww.org/aaww_events.html

Friday, November 16, 7PM .

"My Friend Has Come" by Toshiro Suzue
A staged reading, directed by James Yaegashi


写真は大文字山の大の字の真ん中から見下ろした京都の街。日没。
nyでも日没は日没だろうか。そりゃ日没だろう。日が沈む。ここでも。あそこでも。

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